01.ちゃらんぽらんな男
ふっ、と夜中に目が覚めて、自分の事を抱き抱えるように眠る男の横顔を眺めた。
なぜ、こんな関係になったのか、土方にはさっぱりわからなかった。
確かに、酒の勢いもあったと思う。
でも、酒の勢いだけで同性の壁を越えられるものではない、とも思う。
それなら、2人の間に何か甘いものが流れても良いような気もするが、この男の口から「愛してる」だとか「好きだ」など、ついぞ聞いたことがなかった。
土方自身、この男の事を「好き」とか「愛してる」とか、はっきり想った事は無いから、お互い様なのかもしれないが。
とはいえ、好き合ってもない者同士でセックス、というのは、土方の個人的な思想と相容れるものでもなかった。
矛盾していることを頭では理解しているつもりだが、では、この男とどうなりたいのか、と問い質されても、はっきりした答えなど出来ない。一晩中悩んでみたこともあったが、答えは出なかった。
そもそも、この男が何を考えているのか、1ミリもわからない。
確かに会話は出来るし、内容もきちんと噛み合ってはいるのだが、心の内を読むことは全く出来なかった。
では、この男との時間が苦痛かというと、そうでもない。
それなりに充実感はある。
それでもやはり、この男とこういう関係になった自分自身を理解できなかった。
いわゆるセフレみたいなものなのだろうか、と考えてはみるが、いわゆるセフレにしては、何だか余計な感情が2人の間に流れているような気もする。
この男の、自分に対する執着のようなものがある事は、薄々気が付いてはいた。
だが、土方が土方なりの深刻さでもって悩んでいるのと同じように、この男もこの男なりの深刻さで悩んでいるとは、到底思えなかった。
その軽い感じが、この男の長所なのかもしれないのだけれど。
土方が、ふぅ、と溜め息を吐いたところで、隣で眠っていたはずの男がパチリと目を開けた。
眠りの浅い土方に比べて、この男はいつでもどこでもいつまででも眠れるような男だった。
珍しいこともあるもんだ、と土方が様子を窺っていると、男は2~3度ぱちぱちと瞬きをして、土方の方に顔を向けた。
何か言おうとしているのか、それとも特に話すべきことも無いのか。
男の出方を用心深く窺っている土方を余所に、男は大きな欠伸をした。
沈黙に耐えかねて、土方が先に口を開く。
「・・・珍しいな、こんな時間に起きるなんて。」
しばらくの沈黙のあと、銀時はいつも通りのテンションで口を開いた。
「でさ、次はいつ会える?」
土方は心の中で溜め息を吐いた。