「いや、あの。だから。」
珍しい事もあるもんだ、と土方は思った。
あんなに口八丁手八丁で、器用な銀時が、目の前でなんだかもごもごもじもじうじうじしている。
「・・・話があるから、こんなとこに引っ張ってきたんじゃねぇのか。」
巡回の最中に出会った銀時に、有無を言わせぬ雰囲気と馬鹿力で路地裏へ引き込まれて、かれこれ10分は経っているだろうか。
銀時はずっとこんな様子で話が進みそうにない。一緒に巡回していたはずの総悟は疾うにどこかにサボりに行ってしまっただろう。
腹立たしさを紛らわすように、土方はタバコを咥え火を点けた。
そんな土方の様子に気付いているのか、いないのか。
銀時は更にしばらくの間、もぞもぞしていたかと思うと、急に顔を上げ、土方の目を見据えて口を開いた。
「いや、うん、だから。
土方くんの事が好きです。」
真っ直ぐな眼ではっきりと言った。
土方は一瞬ぽかんとして、火を点けたばかりの長いタバコを落とした。