「永遠の愛ってさぁ、」
胡乱げに振り返る土方の様子に頓着することもなく、銀時は台詞を続けた。
「それってもう呪いじゃね?」
その紅い目を覗き見してみても、土方にはその台詞の本心は分からなかった。
「・・・急になんだ。」
「いやぁ、なんか神楽がメロドラマ?っつうのにハマっててよ。
たまに隣で見てんだけど、さっぱりわかんねぇなぁって。
愛だのなんだの。」
土方は手元の煙草に視線を戻して、それに火を点ける。
「とりあえず、おめぇがモテねぇ奴だって事は分かった。」
「・・・やっぱ、そういう結論になっちゃう?」
「ったりめぇだろ。」
ふぅ、と紫煙をゆっくり吐き出す。
「ちゃんと分かってんじゃねぇか。
分かっててそう言ってんだから始末に負えねぇな、おめぇは。」
「分かってるっつーかよ、おんなじ事、神楽に言ったら『マダオ』だの『マダオ』だの『マダ「よく分かってんじゃねぇか。『かぶき町の女王』も伊達じゃあねぇな。」
土方は笑いながら銀時の台詞を遮った。
その様子に、銀時は少しだけ不貞腐れて土方の横顔を睨み付ける。
「だってよぉ…
『来世でも恋人』だとか『この愛は永遠』だとか…
互いの妄執で互いを縛り付けようとしてる感じが、もう呪いと変わんねぇじゃん、みたいな?」
「自分で言っといて疑問系かよ。
まぁ、言いたい事は分からんでもない。」
中空を見上げながら、ふー、と細く息を吹く。
ゆぅらりと紫煙が上がる様子を、銀時も土方と同じような表情で見つめるが、横に並ぶ土方がその表情を確認することは出来なかった。
「が、それってつまり、おめぇは『愛』と『妄執』は同じものとしか捉えらんねぇって事だろ。
もちろん、そんな一面もあるだろうけどよ。
それだけじゃねえと思うぜ、俺は。」
そう言った土方の表情を、土方と同じように、銀時が確認することは出来なかった。
「互いを慈しみ合うような『愛』の形もあるはずだろ。」
「そっか。」
「あぁ。俺はそう願いたい。
それに、『愛』と『妄執』が同じものでしかねぇ、なんて、淋しすぎるだろ。
・・・おめぇは、そういうの信じられねぇのか?」
「うーん、まぁ…、どうだろうな…」
銀時は曖昧に返事をしながら、ゆっくり瞬きをして、天空を見上げる。
「・・・でも、今晩の月は綺麗だな、とは思う。」
土方は一瞬ドキリとして、思わず落としそうになったタバコの灰を慌てて灰皿に擦り付ける。
(お前、その意味分かって言ってんのか?)
思わず吐き出しそうになった言葉を、すんでのところで飲み込んだ。
「・・・そうだったか?」
興味のない風を装いながらそう言って、銀時の方に振り返る。
そのやる気の無さそうな紅い目の奥の本心は、やっぱり土方には分からなかった。