Cosa dovremmo mangiare per cena oggi? - 1/2

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本を読みながら、フーゴは大きなあくびをした。
フーゴ以外誰もいない書斎は優しい昼下がりの日差しが差し込んでいるせいもあって、暖かく心地好い。
specchioは何処かへ外出中。
フーゴはのんびり一人で昼食をとった後、久しぶりの一人きりの休暇をゆったりとした気分で過ごしながら本を読んでいたのだが、ふとバルコニーからの視線を感じて顔を上げた。
見上げた先のバルコニーには二匹の猫がお行儀よく並んで座っている。
美しい金の毛並みを持ち堂々とした風で座る猫と癖毛なのか頭の毛が少し跳ねたキジトラの猫である。キジトラの方が金の猫より少し小さいから兄弟分のような関係なのかもしれない。どちらもブルーの瞳だが、金の猫の方は今日みたいに晴れ渡った空のような、キジトラの方は深い海のような印象の瞳である。
例に漏れず、ただの『gatto libero』では無さそうなのだが、初めて見る猫だった。
その風貌や只者ではない雰囲気も気にはなるものの、何よりもまず、じぃっと此方を見つめる瞳が気になる。
ずっと本を読んでいたせいか、少し身体を伸ばしたい気分にもなっていたフーゴは溜め息を吐き、バルコニーにやって来た客『猫』の相手をするために立ち上がることにした。気分転換にもなるだろう。
specchioの知り合いと思われたが、わざわざ彼が留守の時にやって来る、ということはきっとspecchioではなく、自分に用事があるのだ。
窓を開ければ冷たい風が部屋に吹き込むが、青く澄む空からの日差しは穏やかだ。少しずつ春は近付いてきていると実感できる。
フーゴは小さく身震いしながらバルコニーに出ようとして、二匹の猫の前に丸々とした立派な魚が置かれていることに気が付いた。
まるで、というより正真正銘の釣りたてに見える新鮮な魚だ。目の色も濁ってないし、鱗は艶々としてしっとりと濡れている。
二匹の猫が持ってきたもの、のように見えるのだが、一体どういうことなのだろうか。
フーゴが猫の方へ視線を上げると、二匹の猫たちは、やはり、じぃっとフーゴのことを見つめていた。
盗んできたものではないだろう。
おかしなことではあるが、フーゴは二匹の猫の目を見て、そう確信した。
そして同時に、きっとこの魚も贈り物に違いない、とも確信していた。
「……Grazie.」
しばしの沈黙の後、フーゴが困惑しつつもそう告げれば、金色の猫は納得しように頭を下げてから素早く踵を返し、バルコニーの手すりに飛び乗った。隣の弟分らしいキジトラ猫もその後に続くように軽い動作で手すりに飛び乗る。そこで再び振り返った二匹は別れの挨拶をするように頭を下げてから、音もなく静かに仲良く並んで去っていった。
二匹の猫を見送って、フーゴは誰もいなくなったバルコニーに出る。
さて、これをどうしようか。
フーゴは軽く頭を悩ませながら、その大きな魚を手に取った。