おれがお前の運命の人なんかじゃなくたって、 糸くらい自分で結べるよ

「童貞の中学生だって、今時そんなことしませんよ。」
『好きな人の気を引くために喧嘩吹っ掛けるなんて』とは付け加えなかった。
なんだか物知り顔の新八にそう言われて、銀時はやる気のない眼を目の前の少年に向けた、のではない。
その後ろを通り過ぎた土方の姿を見ていた。
なんだよ、アイツ。ぜってぇ気付いてんだろ。声くらい掛けろよ。
そう銀時は思った。
「童貞メガネに、んなこと言われたくねぇよ。
 だからお前は童貞メガネなんだよ。」
「童貞とメガネは関係ねぇからな。
 ・・・今だって誰見て、何考えてたんですか?」
振り返らないまま、新八は呆れたようにため息を吐く。
わざわざ振り返って確認する必要など無かった。
「いつもみたいに喧嘩でも吹っ掛けてきたらどうですか?
 お昼御飯は神楽ちゃんと適当に済ましときますよ。」
と言って、銀時を置いていくように新八は歩き出した。
「あ、銀さんの分は頂きますね。」
新八は振り向き様そう付け加えて、銀時の前を去っていった。
一人置いていかれた銀時は、土方が行った方へ振り向き、歩き出す。
置いていかれたなら仕方ない。お昼御飯は新八の宣言通り、自分の分は用意されないだろう。
仕方ないから、お昼御飯は土方くんに奢ってもらおう。
ついでに、次の非番を聞き出して、呑みにでも誘おうか。
彼がまだそんなに遠くに行っていないことを確認して、足早に追い掛けると、そのすらりとした後ろ姿に大きな声で野次を投げた。