10.隙間のメリーゴーランド

どうにも寒いと思ったら、雪が降っているらしい。
蛍光灯の明かりがやけに眩しい部屋で毛布に包まりながら、竜は舌打ちをした。
3月も終わりが見えて、何故雪なぞ降るというのか。
顔だけ出して部屋の様子を窺う。
静まり返った部屋の中で、自分の呼吸音だけが音を立てていた。
ウゼェ、と、竜は毛布を頭から被り、最後に見た蛍光灯の残像を打ち消すように、強く目を閉じる。
その瞬間、三井の笑い声が耳許で聞こえた気がした。
忘れたいのか、忘れたくないのか。
竜自身にももう分からなかった。