ptn.01
土方はひと息ついて、口を開く。
「死ぬまでオレに付き合え。」
静かな部屋に、土方のその声は思ったよりも響いた。
銀時の赤い瞳がゆらりと揺らめく。
「それでこの関係を終わらせたくなった時は、オレを殺せ。」
「ハッ。
大人しく死んでくれんの?」
「まさか。
相討ちにしてやるぜ。
死んでもおめぇはオレのもんだ。」
なんて浅ましい。
言いながら、土方は自分自身の浅ましさに絶望した。
「ソレって矛盾してね?」
「好きに解釈しろよ。」
どうせ本音は交わせない。
それなら行き違いであろうが何だろうが、銀時の好きなようにしたら良い。
半分は本気だった。
土方は目を閉じる。
銀時は無言のまま、体勢を変えて、土方の上に覆い被さった。
土方のその白い首に手を掛ける。
土方は目を開け、自嘲気味に嗤う。
「それがおめぇの本音か。」
「抵抗しねぇの。」
終わらせてくれるなら、何でも良い。
土方は合意の返事をする代わりに、ゆっくりと目を閉じた。
どれくらいの時間をそうしていただろうか。
一向に動かない銀時の様子を怪訝に思い、土方が目を開けると、銀時は泣きそうな、怒ったような、複雑な表情をしていた。
「・・・おめぇもそんな顔出来んだな。」
「うっせぇよ。
つか、冗談にしても趣味が悪ぃんだよ。
誕生日だからって手前勝手に好き勝手言ってんじゃねぇよ。聞かされるこっちの身にもなれっつの。」
銀時は土方を抱き締める。
「お前が会う度にしんどそうにしてるの位、分かってたよ。それでも、こんな関係でもお前の事、手離したくなかったんだよ。今更甘い言葉なんか吐けねぇし、お前だってそんなもんいらねぇって顔してたしな。こんな関係、オレだって終わらせたいよ。でもお前が居なかったら意味ねぇんだよ。ふたり居なきゃ意味ねぇんだよ。」
そう言って、銀時は土方の首もとに顔を埋める。
銀時の髪の毛が頬の辺りに当たって擽ったい。
土方はその銀髪に初めて手を触れた。
それは思ったよりもふわふわとしていて、触り心地が良かった。土方が指でその髪をくるくると弄くっていると、銀時は土方の手から逃れるように、むくりと立ち上がる。
その顔は真赤だった。
「急に何だよ。ツンデレ飛び越えてヤンデレですか、コノヤロー。
つか、アレだ、アレ。うん、そういう訳で。」
「アレじゃ分かんねぇよ。
何だよ、アレって。」
土方も半身を立ち上げる。
「はぁ?
アレはアレだよ。」
「だから、分かんねぇっつの。
このクルクルパー。」
「だーかーらー。
昨日でこの関係は終わりだから。今日からふたりは生まれ変わったってことで。」
土方が何となく時計を見ると、丁度日付が変わったところだった。
「なんかよく分かんねぇんだけど。」
「だーかーらー。
なんでお前は肝心なとこで鈍いの。
あーーー、めんどくセェからもういいや。」
銀時はわしっと自分の頭を掻きむしると、土方の髪を撫でる。
「お誕生日おめでとう、十四郎。」
アレって結局何だよ、とか誕生日はもう終わったろ、とか土方の疑問を全て無視するように、銀時は土方に優しくキスをした。